マンションの一部屋をギター演奏室用に防音工事した事例です。共用部と上下階に対する防音を行いました。
住宅の種類 | マンション |
---|---|
建築構造 | – |
築年数 | 新築 |
施工地 | 札幌市豊平区 |
施工日数 | 約3週間 |
施工年 | 2024年 |
施工内容 | 防音工事 |
施工費用 | 約200万円 |
防音工事にご興味のある方は、「音のイラっと何とかしたい!」もご覧ください!
施工前の現場の様子
初回にお伺いしたときは、竣工直前の新築マンションでした。楽器可の新築マンションだったので、もともと防音性能が高いマンションでした。
お施主様からのご要望
お客様はかなり本格的にギターを弾かれる方でしたので、隣室に対して念には念を入れて防音したいとの事でした。
施工のポイント
施工もそうですが、防音の場合は事前の調査とヒアリングがかなり重要です。
●防音工事は果てしなく費用をかけられる工事ですので、事前にご予算をお伺いします。
●求める防音性能から、既存の防音性能を引いて、必要な防音性能の目安を割り出します。
●あくまで目安なので、マンションの場合は上下階や隣家の音の聞こえを確認できないことがほとんどですので、想像で目標数値を出します。
◎防音工事の基本は「天井壁床などお部屋全部をまるっと防音材で2重に囲んでしまう」という考え方になります。ただ、それだと6畳間程度でも相当な費用になってしまうので、予算と必要性を鑑みて、そこからどこまで「防音しなくてもよいか」という引き算的な考え方をするのがわかりやすいかと思います。
事前調査
まずは、事前調査です。実際に防音を施すお部屋で音を出し、施工前の防音性能を検証します。
防音予定のお部屋で77.5dB程度の音量が出ているとき、廊下は59.2dB、隣接する洋室で39.2dB、共用部37.3dB程度でした。
※音圧には波があるので、あくまでも目安です。
打ち合わせ
防音室で使用される楽器やどのレベルで演奏するのかご予算などから、どこまで防音するか、防音方法を相談させていただきました。
お家の中に関してはそこまで考慮しなくて大丈夫とのことで、共用部と上下階に対する防音工事を行うことになりました。
また今回は新築マンションという事もあり、躯体の厚みもかなりあったので、最大限の防音レベルまでは必要はないと判断しました。
床に関しては遮音用のタイルカーペット、天井壁は反響による音の増幅を防ぎつつ、遮音する形となりました。
共用部に対してはもとから40dB程度の防音性能があったので、さらに10dB程度音圧を下げることを目指す事にしました(数値はあくまで目安で、保証するものではありません)
施工の様子
ここからは、施工の様子を写真でご覧ください。
まずは、きれいなお部屋が傷つかないようしっかり養生をします。
マンション共用部も同様にしっかり養生します。
既存のファンコンベクター(室外から温水などを導入して空気を暖め、ファンで室内に送風する暖房器具)と火災報知器をはずします。
これから防音対策として壁を重ねていくので、取り外しの際、ファンコンベクターも火災報知器も配線・配管に余裕があるかを確認します。
防音予定の部屋の壁や天井をはがしていきます。
壁と天井に断熱材を入れていきます。
天井に石膏ボードと遮音パネルを貼ります。
窓側と共用部側の壁は、GL施工というコンクリート面に直接石膏ボードを張る工法が採用されていたため、既存壁は解体せず上から遮音パネルを施工しました。
玄関側の壁と廊下側の壁は、既存石膏ボード撤去し、新しい石膏ボードと遮音パネルを施工しました。
石膏ボードと遮音パネルを重ねて張るときのポイントは、ボードとパネルのジョイント(つなぎ目)をずらすことです。
そうすることにより防音効果を高めています。
隣室側の壁は、ギター掛けを設置するので、石膏ボードの代わりにベニヤを張り、その上に遮音パネルを張りました。
換気口部分や、窓まわり、ドアまわりも隙間なくしっかり施工しています。
石膏ボード張り・遮音パネル張りが完了した室内の様子です。
クロス張りが完了した室内の様子です。
クロス張りが完了したら電気関係の施工を致します。
コンセント部分は気密遮音ボックスを使用しさらに粘土で埋めることで防音対策をしています。
床に遮音用のカーペットを貼ります。こちらの商品は 東リのファブリックフロアというもので、遮音等級はL45あります。
カーペットなので吸音効果も高まります。
もともと遮音等級がL45のフロアの上にさらにL45のタイルカーペットを貼っていますので、防音効果はさらに高まります。
こちらのカーペットは、貼ってはがせるタイプのタイルカーペットですので、汚れが目立ってきたらその部分だけ剥がして洗うことができるのもポイントです。
美装して完了です。
床にカーペットを貼った以外、あまり室内が変わったようには感じられませんが、防音効果はぐんと高まっています。
美しい見た目を変えずに、防音効果を高める工事がポイントです。
下の写真は施工後の防音室の様子です。
施工後調査
防音工事後に防音室で実際に音を出し、防音性能の確認をしました。
防音室で91.6dBの音量が出ているときでも、廊下は49.0dB、隣接する洋室で41.5dB、共用部30.9dBという結果でした。目標通りの防音を実現できたのではないかと思います。(結果はあくまでも目安です。)
心置きなくギターを弾くことが出来てます。色んな業者さんのお話をお聞きしましたが、札幌では唯一すけみつさんだけが、明確な回答と施工実績があったと感じましたので、お願いしました。今度は我が家で一緒にセッション出来たら嬉しいです。
防音工事は、「確実に音は漏れません」と保証できる工事ではありません。だからこそ完了後、お客様に「やって良かった」と思ってもらえるように、事前にたくさんお打合せをさせて頂いております。防音出来る・出来ない、する必要がある・ない も含めてお話させて頂きますので、お気軽にご相談ください。