楽器音・生活音を防ぎ、静かな住環境を実現するため、防音壁で対策した事例です
住宅の種類 | マンション |
---|---|
建築構造 | – |
築年数 | – |
施工地 | 札幌市中央区 |
施工日数 | 約5日間 |
施工年 | 2020年 |
施工内容 | 既存壁・ドア 撤去、天井:遮音パネル・布クロス施工、壁:断熱吸音材・遮音カベマット・遮音パネル18.5・オトカベ(遮音材/吸音材)・遮音シート・石膏ボード・布クロス施工、ドア:防音ドア設置 |
施工費用 | 約170万円 |
家族構成 | – |
間取り | – |
ご自宅でアコースティックギターを弾きたいお客様。
壁のリフォームをはじめ防音対策を行った結果、普段の生活音も気にならないほどの住環境を実現。
施工の様子を細かくご紹介いたします。
はじめに
防音はとても難しい工事の1つです。音(聞こえてくる音)の数値を計算し、目標(抑えたい音量)の数値まで下げられるよう防音材を使用して工事を行いますが、音の聞こえ方、感じ方は人それぞれなので、数値ではクリアしていても満足いくものにならない可能性があります。お施主様にはそのことを事前にご理解いただき工事を行っております。
お施主様からのご要望
購入したマンションでアコースティックギターを弾きたいので、防音をしっかり行いたいとの事でした。
施工プラン
今回防音工事のご依頼を頂いた場所はご主人のお部屋です。お住まいのマンションの資料を拝見させていただきましたが、遮音性を考慮した構造になっておりました。実際にギターを弾いて頂き、ベランダや外に出て音がどれだけ聞こえてくるのか確認しましたが、全く聞こえませんでした。そういった経緯と管理人さんのヒアリングなどにより、他の住戸に音が伝わりにくいと判断し、隣のお部屋(奥様のお部屋)になるべく音が漏れないようプランを立てることになりました。
▼プラン図がこちらです。壁A・B・Cに防音工事を行います。
▼壁A・B・Cの防音材は以下のようにプランニングいたしました。
数値を計測してみると、ギターの音は80デシベル程度でしたので、隣のお部屋で40デシベル以下になるように、40~45デシベル程度の防音を目指します。(※あくまで目標数値ですので、数値を保証するものではありません。)
デシベルと言われてもピンとこないと思いますので、音の大きさの一例として下記をご参考にしてください。
80デシベル … 聴覚的な目安→きわめてうるさく感じる(人の声→かなり大きな声)
40デシベル … 聴覚的な目安→静かに感じる(人の声→ささやき声)
防音工事の様子
天井
天井から奥様のお部屋へ音が伝わることを防ぐため、既存の上に遮音パネル12.5(厚さ12.5mm)を施工しました。遮音パネルはゴム製のマットとボードを一体化させたクロス仕上げ対応の下地材です。
天井下地の位置を確認し、しっかりと張っていきます。
壁A
奥様のお部屋側の壁はそのままの状態にしておくため、既存のボード1枚を残し、壁を撤去。壁の中で音が反響するのを防ぐため、断熱吸音材を敷き詰めていきます。
ゴム製の遮音カベマット(厚さ6mm)をかぶせ、マット1枚1枚の隙間は気密遮音テープで塞ぎます。その上から遮音パネル18.5(厚さ18.5mm)を張り、後にギター掛けを設置するので、ビスを打ち込めるように木材で下地を入れておきます。
そして、その上にオトカベ(厚さ12.5mm)を施工しました。
オトカベは遮音性もありますが、吸音材なので小さな穴がぽつぽつと開いていて、音が反響しにくくなっています。
壁B・ドア
壁Bは撤去し、骨組みの状態にして、断熱吸音材を敷き詰め、室内側・廊下側共に遮音パネル18.5(厚さ18.5mm)を張りました。室内側には、パネルの上からオトカベ(厚さ12.5mm)を施工。ドアは防音ドアに交換しました。
防音ドアの設置に伴う隙間は、遮音気密コーキング材で埋めていきます。コーキングを行ってから見切枠を被せることで、気密性が高まり、音漏れを軽減します。(アニメーション参照)
▼実際の写真がこちらです。こういった小さな隙間を埋めることが大切なので、しっかりと行いました。
壁Cには既存の壁の上に遮音パネル18.5(厚さ18.5mm)を施工しました。これで予定していた防音施工はほとんど終了しましたので、スマートフォンで音楽を流し、防音効果をチェックしました。
音源では72.6デシベルの音に対して、奥様のお部屋では25.8デシベルでした。つまり、46.8デシベルの防音効果が数値上で表れましたので、目標を達成したことになります。
追加工事の様子
数値では目標を達成できましたが、生活の中で気になりそうな音は聞こえている状態でした。そのことをお施主様や職人に相談し、仕上げのクロス工事を行う前に壁を1枚増やす工事を行うという結論に至りました。
追加工事を行うのは壁Aです。
プランとしましては、オトカベ(厚さ12.5mm)で仕上げた壁Aの上から、遮音シートをかぶせ、石膏ボードで仕上げます。(下記の簡易断面図で、赤文字で示している部分が追加で行う工事です。)
▼こちらが施工中の様子です。遮音シートを張り、隙間は気密遮音テープで埋めます。
追加工事完了後、再度同じ音を流し奥様のお部屋で測定した結果、22.4デシベルでした。
追加工事前よりも3.4デシベル下がり、実際に聞こえてくる音量としましては、耳を澄ましていないと聞き取れない程度にまで下がりました。
コンセント・スイッチ 移設/防音工事の様子
下写真のように、コンセントの移設工事を行いました。
壁の中で配線を通しているので、壁を開口しコンセントを表に出します。
開口部からの音漏れを軽減させるため、防音仕様にしていきます。
2口コンセントのみ移設
電話コンセントは使用していなかったので、元の場所から移さず隠蔽しています。
(再び使用したい場合は壁を開口すれば線が出てきます。)
気密・遮音ボックス
ボックスを設置し、開口部分を塞ぎます。遮音効果のあるボックスを使用します。
隙間充填剤
ボックスの中の粘土のようなものが隙間充填剤です。まず配線の穴には遮音コーキングを打ち、上から隙間充填剤で埋めていきます。
線とコンセント差込口をつなぎ、カバーをかぶせて完成です!
表側からは分かりませんが、裏側では音漏れ防止の工夫が詰まっています。
音は小さな隙間からでも伝わってしまいます。こういった見落としがちな部分をしっかり施工することが防音工事には重要です。
施工前後の様子
こちらが施工前後の様子です。
一般的なビニールクロスより吸音作用のある布クロスで壁・天井ともに仕上げています。
防音工事を行い遮音性能が高まったことで音の行き場が部屋内に集中しますが、布クロスの吸音作用で反響が強くなりすぎるのを多少抑えることができます。
布クロスは施工の難易度が高いので、貼ることの出来る職人が限られます。下地をきれいに整えてから、しっかりと施工しました。
壁一面のみクロスの色を変えることで、良いアクセントとなり、部屋の雰囲気が落ち着きました。防音施工した分だけ部屋が狭くなっていますが、そのようには全く感じない仕上がりです。
今回の防音工事で、旦那様と奥様の暮らしがとても快適になると確信できる工事となりました。
バッチリでした。とても満足しております。どうもありがとうございました。
今回は急遽追加で防音材を足した結果、お施主様も満足のいく形で終われたので安心いたしました。仕上がりもご満足いただけてとても嬉しかったです。
防音工事は、施工してみるまで効果が分からないうえ、効果の保証も出来かねる難しい工事ですので、事前にしっかりとお打ち合わせを致します。現状の不都合やご要望、ご不安な点など全てぶつけてください! お待ちしております!
▼ 防音施工事例一覧
楽器音と生活音の防音対策
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